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首が腫れている、舌下が腫れている
(唾液腺嚢胞、ガマ腫)

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case8.首が腫れている、舌下が腫れている(唾液腺嚢胞、ガマ腫)

唾液腺嚢胞とは?

唾液腺嚢胞は、唾液腺やその導管が傷害を受け、唾液が漏出して周囲組織へ貯留や炎症が生じ、袋状の構造物を形成した状態をいいます。唾液腺は、粘稠性の高い唾液を産生する下顎腺や舌下腺、漿液性の唾液を産生する耳下腺や頬骨腺があります。唾液腺嚢胞の発生部位は、頚部、舌下(ガマ腫)、咽頭部、頬部(まれ)に生じ、無痛性の腫脹が認められます。

原因は、唾液腺やその導管が傷害と考えられていますが、直接的な原因が分からない事が多くあります。

唾液腺嚢胞の診断

頚部や舌下、咽頭部に液体を含んだ袋が認められたら、感染に注意しながら液体を抜去します。粘稠性の高い液体が認められたら、唾液腺嚢胞を疑います。感染や炎症が生じていないか、細胞診も実施します。

唾液腺嚢胞の治療

内科的に唾液を抜去してもまたすぐに溜まってしまうため、嚢胞が形成されている左右どちらか一方の唾液腺を外科的切除する必要があります。
唾液腺嚢胞の多くは頚部や舌下に認められ、これらの部位に関連する唾液腺は、下顎腺や舌下腺となります。再発を出来るだけ生じない様にするため、下顎腺および導管に沿って舌下腺を舌神経より頭側まで切除する必要があります。

実際に治療した症例

症例1:フレンチブルドック、1歳、避妊雌「頚部唾液腺嚢胞」

2週間前より首の膨らみが気になるとの事で受診されました。頚部超音波検査にて左腹側に液体貯留を伴う袋状構造物が認められました(写真1)。液体を穿刺抜去すると粘稠度の高い液体が採取され、唾液腺嚢胞疑いと診断致しました。その後、1週間後に再度液体を抜去しましたが、すぐに再発したため、左側下顎腺、舌下腺切除および頚部嚢胞切除を実施致しました。切除した組織の病理組織検査結果は唾液瘤だったため、頚部唾液腺嚢胞と診断致しました。その後は再発もなく良好な経過を過ごしています。

  • イメージ 写真1
    超音波検査にて、液体を伴う袋状構造物が認められる。
  • イメージ 写真2
    C T検査にて左側下顎腺に隣接した嚢胞が認められる。
  • イメージ 写真3
    皮膚切開後、鉗子で把持しながら下顎腺および嚢胞を剥離している。
  • イメージ 写真4
    皮膚切開後、鉗子で把持しながら下顎腺および嚢胞を剥離している。
  • イメージ 写真5
    下顎腺を顎二腹筋(※)の下に通し、下顎腺や舌下腺を導管に沿って吻側に剥離している。
  • イメージ 写真6
    下顎腺を顎二腹筋(※)の下に通し、下顎腺や舌下腺を導管に沿って吻側に剥離している。
  • イメージ 写真7
    導管の一部から繋がっている嚢胞を剥離している。
  • イメージ 写真8
    下顎腺や導管に沿って舌下腺を吻側へ剥離した後、舌神経を損傷させない様に確保している。
  • イメージ 写真9
    再発をできるだけ生じない様にするため、舌神経の吻側の位置で舌下腺の導管を結紮および切離している。
  • イメージ 写真10
    切除した下顎腺、舌下線および導管(矢頭)、嚢胞の写真。顎二腹筋や舌神経の下を潜らせるために2カ所切断している。
症例2:トイプードル、15歳、避妊雌「咽頭部唾液腺嚢胞」

頚部の腫れに気付いたとの事で来院されました。頚部の超音波検査にて、唾液腺嚢胞を疑う嚢胞様構造物が2カ所認められ、1カ所は咽頭部に突出して認められました。
液体を穿刺抜去すると粘稠度の高い液体が採取され、唾液腺嚢胞疑いと診断致しました。その後、すぐに再発したため、左側下顎腺、舌下腺切除を実施致しました。のどの中にある咽頭部嚢胞に対しては、嚢胞を一部切除し、内腔に溜まった唾液をきれいに吸引し、嚢胞内腔と口腔粘膜を縫合する造袋術を実施致しました。切除した組織の病理組織検査結果は唾液瘤だったため、咽頭部唾液腺嚢胞と診断致しました。その後は再発もなく良好な経過を過ごしています。

  • イメージ 写真11
    左側咽頭部にある嚢胞の唾液を吸引し、鉗子で嚢胞(矢頭)を把持している。
  • イメージ 写真12
    嚢胞を一部切除し、嚢胞内腔と口腔粘膜を縫合する造袋術を実施した後の写真(矢頭)。
  • イメージ 写真13
    切除した左側下顎腺および舌下腺の写真。
症例3:日本猫、5歳、避妊雌「舌下部唾液腺嚢胞(ガマ腫)」

口の右側を気にしているとの事で来院されました。口腔内を確認すると、右舌根部に波動感を伴う腫瘤病変が認められました。穿刺吸引を行ったところ、粘稠度の高い液体が採取され、舌下部唾液腺嚢胞疑いと診断致しました。
右側下顎腺、舌下腺切除を実施致しました。舌下部嚢胞に対しては、嚢胞を一部切除し、内腔に溜まった唾液をきれいに吸引し、嚢胞内腔と口腔粘膜を縫合する造袋術を実施致しました。切除した組織の病理組織検査結果は唾液瘤だったため、舌下部唾液腺嚢胞と診断致しました。その後は再発もなく良好な経過を過ごしています。

  • イメージ 写真14
    右側舌根部に軟性腫瘤(※)が認められる。
  • イメージ 写真15
    右側下顎腺を鉗子で把持し、導管に沿って舌下腺を剥離している。
  • イメージ 写真16
    顎二腹筋を把持しながら正中との筋間を剥離している。
  • イメージ 写真17
    顎二腹筋の下に鉗子を潜らせ、右側下顎腺を掴み、正中へ牽引しようとしている。
  • イメージ 写真18
    右側下顎腺を正中へ牽引した後の写真。
  • イメージ 写真19
    右側下顎腺、舌下腺をより導管に沿って吻側に向かって、舌神経(矢頭)の頭側まで剥離している。
  • イメージ 写真20
    舌神経の頭側にて、右側下顎腺、舌下腺や導管を結紮離断し、切除している。
  • イメージ 写真21
    舌神経の頭側にて、右側下顎腺、舌下腺や導管を結紮離断し、切除している。

「首が腫れている」「舌下にできものが見られる」「喉の奥にできものが見られる」「唾液腺嚢胞が認められると言われた」などでお困りの際は、当院に是非気兼ねなくご相談下さい。

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