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誤食してしまった、吐いてしまう、食欲がない(消化管内異物)

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case6.誤食してしまった、吐いてしまう、食欲がない(消化管内異物)

消化管内異物とは?

消化管内異物は、わんちゃんや猫ちゃんが、食べ物では無い物を飲み込んでしまい、胃や腸に流れてしまった状態です。目の前で異物を飲み込んでしまったケースもあれば、嘔吐や食欲不振に対する検査で偶発的に発見されるケースもあります。

症状は、異物が胃の中にあり、無症状の事もあれば、異物が食道や腸で詰まっってしまい、流涎や嘔吐、食欲廃絶や下痢などの消化器症状を出す場合もあります。

消化管内異物の診断

異物を飲み込んでしまったか分からない場合には、まずレントゲン検査や超音波検査を実施します。しかし、検出率が高く無いため、症状や食べた恐れのある物によって、催吐処置の実施や、無麻酔C T検査や内視鏡検査の実施をします。

消化管異物に対する治療

①催吐処置

異物を食べてしまってすぐの場合や検査で異物が胃内に認められる場合に行います。
・注射による催吐処置(犬・猫)
・点眼薬による催吐処置(犬のみ)

  • イメージ 当院は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が犬に嘔吐を起こさせる点眼薬として認可しているClevor(ロピニロール)を使用する事も行なっております。
    また、食べた異物が、中毒を生じる可能性がある場合、点滴や体への吸収を阻害する薬を処方する事もあります。

②内視鏡処置

催吐されない場合、全身麻酔が必要ですが内視鏡下にて異物摘出を実施します。

症例1:チワワ、5歳、避妊メス

食事後、梨1かけらを飲み込んでしまい、その後から泡を吐いているとの事で来院されました。レントゲンで、食道内異物を疑い内視鏡検査を実施しました。

  • イメージ 口からスコープを挿入すると、まず食道内に泡沫状の唾液貯留が認められた。
  • イメージ 泡沫状の唾液貯留の奥に梨が認められた。
  • イメージ 梨をスコープで胃内に押し込んだ後の画像。梨が食道内から消失し、食道全体が胃の入り口まで認められる。
  • イメージ 胃内に流れた梨(矢頭)が認められる。その後梨はフードと一緒に消化された。

食道炎を予防する投薬の実施、食道に詰まってすぐ処置を行ったため、処置後食道炎や食道狭窄も認められず、流涎は消失し、元気食欲もあり良好な経過を過ごしています。

症例2:ミックス犬、11カ月齢、雄

ゴム製の異物を食べてしまったとの事で来院されました。催吐処置にて吐かなかったため、内視鏡にて摘出しました。また、後日実施予定だった去勢手術を同時に実施しました。

症例3:トイプードル、11歳、避妊雌

当日の朝に1円玉を2枚食べてしまったとの事で来院されました。催吐処置にて吐かなかったため、内視鏡にて摘出致しました。

症例4:ミックス犬、7歳、去勢雄

ゴムのフタを食べてしまい、他院にて催吐処置を実施したが、吐き出さなかったため、当院へご紹介頂き受診されました。
内視鏡にて、無事摘出致しました。

症例5:トイプードル、11歳、去勢雄

クシ付きの焼き鳥を1本食べてしまったとの事で来院されました。夕食も食べており、胃の中に未消化フードも多く、クシを見つけて摘出するのが困難でしたが、無事摘出致しました。

③外科摘出(胃切開、腸切開)

内視鏡下で摘出不可能な胃内異物や腸内異物は、手術により摘出します。

症例4:ノルウェージャン フォレストキャット、1歳、去勢雄

前日からの嘔吐、食欲低下で来院され、エコーおよび無麻酔CT検査にて、小腸内の異物が疑われた。

  • イメージ 小腸内に異物を疑う内容物が認められる(矢頭)。
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開腹手術を実施し、腸切開を実施したところ、空腸領域1カ所に毛状異物が認められた。

腸切開部を縫合し、腸内に生理食塩水を注入し縫合部から漏れがないかリークチェックを実施した。

リークチェックで異常が認められない事を確認し、閉腹を行い手術終了とした。術後は、嘔吐もなく食欲も戻り、良好な経過を過ごしています。

症例5:日本猫、2歳、去勢雄

昨日より、30分おきに嘔吐が認められ、元気食欲廃絶との事で来院した。エコー検査にて、小腸が波状(アコーディオン状)に認められ、ひも状異物が疑われた。

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開腹し小腸を出すと、異物がある小腸が波状(アコーディオン状)に認められた。(矢頭)

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2カ所腸を小切開し、ひも状異物を摘出しました。

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切開した縫合部のリークチェックを行い、異常が認められない事を確認し、閉腹を行い手術終了とした。術後は、嘔吐もなく食欲も戻り、良好な経過を過ごしています。

症例6:バーニーズ・マウンテン・ドック、3歳、去勢雄

10日前からの食欲低下、嘔吐、水溶性下痢で来院した。エコー検査、CT検査にて、胃内異物、小腸内に3ヶ所の異物による腸閉塞が疑われた。

  • イメージ 胃内に大量の異物(矢頭)が認められる。
  • イメージ 小腸内に3ヶ所異物による腸閉塞(矢印)が認められる。
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内視鏡検査を実施したが、胃内異物は大きな塊となり、内視鏡下による摘出は不可能であったため、胃切開、および3ヶ所の腸切開を実施した。

  • イメージ 胃切開による異物摘出後、縫合部の写真
  • イメージ 腸切開、異物摘出した後、縫合し、リークチェックを行なっている。
  • イメージ
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  • イメージ 摘出した胃内異物および腸内異物の写真。かなりの量の異物が摘出された。

切開した縫合部のリークチェックを行い、異常が認められない事を確認し、閉腹を行い手術終了とした。術後、消化管造影による縫合部漏出が認められない事を確認し、食事を再開した。元気や食欲は改善し、嘔吐も消失し、良好な経過を過ごしております。

どうしてもお家で生活している上で、完全に誤食を防ぐことは難しいと思います。時間の経過により腸へ流れて閉塞してしまった場合、手術になってしまいます。万が一食べてしまった場合は、手術となってしまう前に、催吐処置や内視鏡摘出をなるべく早く医療機関にご相談頂けたらと思います。

「異物を食べてしまった(誤食してしまった)。」
「食欲低下、嘔吐、下痢などが認められる。」
などでお困りの際は、が認められましたら、当院に気兼ねなくご相談下さい。

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047-409-3906
(祝日、日曜日午後休診)