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血尿、頻尿が続いている(膀胱結石)

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case4.血尿、頻尿が続いている(膀胱結石)

膀胱結石とは?

尿は左右腎臓で作られると、細い尿管を通過し、膀胱へ流れていきます。膀胱に尿が溜まると、尿意を感じて尿は、尿道を通過し体外へ排泄されます。この膀胱内で結石が生じると膀胱結石となります。また、腎臓で発生した結石が尿管を通過し、膀胱へ流れてくるケースもあります。

膀胱結石は、内科療法で溶解できる結石(ストルバイト、シスチン、尿酸塩※)と溶解できない結石(シュウ酸カルシウム)とに分類され、その発生率は、ストルバイトとシュウ酸カルシウムだけで約80%を占めます。※尿酸塩(尿酸アンモニウム)の原因が、肝機能不全や門脈体循環シャントの場合、原因疾患が改善しないと溶解は困難です。

膀胱結石に対する治療

内科治療

膀胱結石が認められた場合、すぐに手術という訳ではありません。内科療法で溶解できる結石が疑われる場合は、食事やお薬で経過を見ていきます。溶解できない結石でも、下記の場合でなければ、結石を大きくさせない、増やさないという目的で、処方食や結石に対するお薬により、経過を見ていきます。ただし、男の子の猫ちゃんは、尿道が細く閉塞しやすいため、溶解できない結石が疑われる場合には、積極的に外科的摘出を検討します。

膀胱結石で外科治療が必要となるケース

膀胱結石が認められた場合、すぐに手術という訳ではありません。内科療法で溶解できる結石が疑われる場合は、食事やお薬で経過を見ていきます。溶解できない結石でも、下記の場合でなければ、結石を大きくさせない、増やさないという目的で、処方食や結石に対するお薬により、経過を見ていきます。ただし、男の子の猫ちゃんは、尿道が細く閉塞しやすいため、溶解できない結石が疑われる場合には、積極的に外科的摘出を検討します。

  • 結石により、膀胱炎が持続または再発する場合
  • 膀胱結石により、細菌感染のコントロールが困難な場合
  • 膀胱結石が尿道に閉塞してしまい、カテーテルで解除後、再発するリスクが高い場合
  • 男の子で尿道閉塞のリスクが今後高い場合

外科治療

膀胱切開により、膀胱内の結石を摘出します。膀胱切開の合併症の一つに結石の取り残しが挙げられます。膀胱内の大きな結石は肉眼で確認できますが、当院では、レントゲンで写らない程の小さな膀胱結石や尿道結石の取り残しが無い様にするため、術中または術後CT検査を実施しております。

実際に治療した症例

症例1:チワワ、11歳、雄

昨日より頻尿およびポタポタしか排尿しないとの事で来院。レントゲンにて、膀胱内(矢印)および尿道内(矢頭)に結石が認められた。(写真1)

結石による尿道閉塞が認められたため、全身麻酔下にて、水圧法により尿道結石を膀胱へ戻しました。その後、尿道結石全て膀胱内に戻っているかC T検査で確認し(写真2)、膀胱切開により結石を全て摘出しました。術後、膀胱結石、尿道結石全て細かい結石含めて、取り残し無く全て摘出されているか確認のため、C T検査を実施し手術終了としました。

結石はシュウ酸カルシウムで、内科療法では溶解できない結石であった。術後は、膀胱炎症状もなく、結石再発予防のため処方食による内科治療で経過観察を実施している。

  • イメージ 写真1
    レントゲン検査にて、膀胱内(矢印)および尿道内(矢頭)に結石が認められる。
  • イメージ 写真2
    全身麻酔下にて尿道結石を膀胱へ戻した後のC T画像。尿道結石は全て膀胱内に押し戻されている(矢印)。押し戻した結石が尿道に流れない様にカテーテルを留置している(矢頭)。
  • イメージ 写真3
    膀胱切開している。
  • イメージ 写真4
    結石を摘出している。
  • イメージ 写真5
    結石全て摘出後、膀胱切開部の縫合を実施した。
  • イメージ 写真6
    結石の取り残しが無いのを確認するため、術後実施したC T画像。膀胱内(矢印)、尿道内(矢頭)に結石が無い事を確認し、手術を終了とした。
  • イメージ 写真7
    実際に摘出された結石の写真。結石はシュウ酸カルシウムで、内科療法では溶解できない結石であった。
症例2:アメリカンショートヘア、6歳、去勢雄

排尿困難で来院。ペニス先端にて尿道閉塞が認められたため、無麻酔下で尿道閉塞を解除し、尿道カテーテルを留置しました。その後、尿道結石が全て膀胱に戻っているか確認のため、レントゲン検査および無麻酔下でC T検査を実施しました。

レントゲン検査上、尿道結石は明らかには認められませんでしたが、C T検査では、2箇所尿道結石が認められました。その後、膀胱切開と同時に、再度ペニス先端からカテーテルによる水圧法により、尿道結石は全て膀胱へ戻され、結石全てを摘出しました。術後にC T検査を実施し、尿道、膀胱結石全て摘出されている事を確認し、手術を終了としました。

結石は、シュウ酸カルシウムで、内科療法では溶解できない結石であった。術後は、膀胱炎症状もなく、結石再発予防のため処方食による内科治療で経過観察を実施している。

  • イメージ 写真8
    尿道閉塞解除後のレントゲン画像。膀胱内に多数の結石(矢印)と、尿道内に結石は認められず、留置されたカテーテル(矢頭)のみが認められる。
  • イメージ 写真9
    無麻酔C T画像。レントゲン検査上、尿道結石は明らかには認められなかったが、C T検査では2箇所尿道結石(矢頭)が認められている。また、膀胱内に結石が多数(矢印)認められている。この様にC T検査は、膀胱や尿道結石の評価を確実に行うため、とても有用な検査である。
  • イメージ 写真10
    膀胱を腹腔外へ出している。
  • イメージ 写真11
    膀胱を切開し、結石を摘出している。
  • イメージ 写真12
    膀胱切開部を縫合し、生理食塩水を注入しリークチェックを行なっている写真。
  • イメージ 写真13
    結石の取り残しが無い事を確認するため、術後実施したC T画像。膀胱内、尿道内に結石は認められず、手術終了とした。尿道や膀胱内にカテーテルが認められている。

「膀胱結石が認められ、膀胱炎による血尿や頻尿が続いている、または再発を繰り返している」「おしっこが出ない」などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。

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(祝日、日曜日午後休診)