急性腎不全を生じると、元気や食欲低下、嘔吐などの症状がみとめられます。しかし、片側の尿管結石が閉塞し、もう一方の腎機能が正常であると、無症状のまま尿管閉塞に気づけない場合もあります。
治療には、内科治療と外科治療があります。
内科治療
もう一方の腎臓から尿が出ていて、血中カリウム濃度が高くなければ、内科治療を行う事があります。点滴や尿管を蠕動させる薬、鎮痛剤、炎症とるためステロイドなどを用いて、結石が膀胱に流れないか経過をみます。
外科治療
外科治療は、尿管切開、尿管膀胱新吻合、SUB(皮下尿管バイパスシステム)設置術があります。
当院では、なるべく尿管切開や尿管膀胱新吻合といった生体を利用した術式を選択します。SUB(皮下尿管バイパスシステム)設置術は、尿管結石が多発性である、狭窄を伴う尿管閉塞、尿管拡張伴わない尿管閉塞の場合など、尿管切開や尿管膀胱新吻合で対応が難しい場合に実施します。
尿管切開術を行なった症例
食欲低下が認められ、検査を行ったところ血液検査にて腎数値の上昇、左側腎臓にて腎盂拡張および近位尿管拡張が認められました。
エコー検査にて尿管結石は認められておりましたが、他に尿管結石がないか手術直前に尿管結石の数や位置把握のため、C T検査を実施致しました。
嘔吐および食欲低下で来院され、検査を実施したところ血液検査にて、腎数値の上昇、左側にて腎盂拡張および近位尿管拡張が認められました。
エコー検査にて尿管結石は認められておりましたが、他に尿管結石がないか手術直前に尿管結石の数や位置把握のため、C T検査を実施致しました。
左側尿管内に結石は1カ所であったため、尿管切開により結石の摘出を行いました。
尿管膀胱吻合を行なった症例
元気食欲低下、嘔吐で来院され、検査を実施したところ、血液検査において、CRPおよび腎臓数値の上昇が認められた。また、エコーにて右側腎盂拡張、尿管結石が多数認められました。
尿管内に複数の尿管結石が認められ、また近位尿管拡張および右側腎結石が多数認められおり、結石による尿管閉塞の再発を軽減する目的で、拡張した尿管膀胱新吻合術を実施致しました。
術後、腎臓数値は正常値になり、元気食欲も出て無事退院致しました。
元気食欲低下、嘔吐で来院され、検査を実施したところ、血液検査において、腎臓数値の上昇が認められた。また、エコーにて左側腎盂拡張、尿管結石が多数認められました。
手術直前に尿管結石の数や位置把握のため、C T検査を実施したところ、尿管遠位にて尿管結石が1つ閉塞しておりました。遠位尿管はかなり細く、また腎臓内に多数結石が認められていたため、結石による尿管閉塞の再発を軽減する目的で、尿管膀胱新吻合を実施致しました。
SUB(皮下尿管バイパスシステム)設置術を行った症例
既往歴として、3年前に左側尿管結石が認められ、尿管切開術により結石摘出を実施した症例でした。再度左側腎結石が尿管に流れてしまい、閉塞を生じ嘔吐、元気・食欲低下で来院されました。以前の尿管切開により、左側尿管と周囲組織の強く癒着が認められ、結石部位へのアプローチが困難であったため、SUB(皮下尿管バイパスシステム)設置術を実施致しました。
術後、腎臓数値は正常値になり、元気食欲も出て無事退院致しました。術後は、1ヶ月に1度バイパスラインの洗浄を実施しております。人工物設置は、この様に術後定期的なケアが必要となります。
「若い猫ちゃんだが、慢性腎臓病と診断受けている。」
「尿管結石と診断を受けている。」
などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。