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ノドにしこりがある(甲状腺癌)

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甲状腺癌

甲状腺癌とは

甲状腺癌は、左右喉にある甲状腺から発生した悪性腫瘍です。犬において、触診やエコーなどの検査で発見される甲状腺腫瘍のほとんどは、甲状腺癌と言われています。
甲状腺は、甲状腺ホルモンを産生する臓器です。甲状腺癌のうち、60%がホルモン産生に影響しない非機能性と言われています。一方、甲状腺機能低下症を生じるケースが30%、甲状腺機能亢進症を生じるケースが10%と言われています。
また、両側性腫瘍となる場合が60%と言われております。甲状腺癌は、転移率が高く、初診時転移率が35-40%ですが、最終的に80%の転移率になると言われています。甲状腺付近のリンパ節や肺に転移が認められる事が多く、肺転移病巣の進行は、ゆっくりである事が多いです。

治療

犬の甲状腺に腫瘤が認められた場合、ほとんどが悪性であるため、画像検査で転移が認められなければ、積極的治療を検討します。積極的治療は、甲状腺腫瘍が、周囲組織と癒着せず可動性が認められれば、外科切除を検討します。一方、腫瘍が大きく周囲組織と癒着して固着性が認められる場合は、放射線治療を検討します。
甲状腺癌の大きさにより転移率が変わってくるため、腫瘍の大きさや病理検査における所見(脈管内浸潤、被膜外浸潤の有無など)により、術後の補助化学療法を検討します。

実際に治療した症例

症例1:ミックス犬、11歳、去勢雄

3週間前より喉にしこりが認められるとの事で、来院されました。身体検査にて、2cm大の皮下腫瘤が認められました。頸部超音波検査より、左側甲状腺腫瘤が認められました。細胞診により甲状腺癌が疑われ、また左右内咽頭後リンパ節、下顎リンパ節、浅頚リンパ節への転移を疑う所見は認められませんでした。

  • 治療 超音波画像

血流豊富な左側甲状腺腫瘤が認められる。 転移を疑う所見が認められず、また甲状腺腫瘍は、周囲との癒着が無く可動性であったため、外科切除を実施しました。

  • 治療
  • 治療
  • 治療 術中写真

左側甲状腺腫瘤(矢頭)が認められる。反回神経を注意しながら、甲状腺腫瘤を周囲組織から剥離し、前甲状腺動静脈や後甲状腺動静脈を結紮離断して、摘出しました。

甲状腺腫瘤は、甲状腺濾胞腺癌でした。同時に左側咽頭後リンパ節が軽度腫脹していたため同時に摘出しましたが、転移は認められませんでした。
術後、腫瘍の体積は4cm3で小さく、病理検査で脈管内浸潤や被膜外浸潤は認められなかったため、補助化学療法は行わずに経過観察と致しました。
術後、転移認めず経過良好に過ごしております。

症例2:ビーグル、11歳、去勢雄

他の主訴における診療で、偶発的に右側頸部に腫瘤が認められました。頸部超音波検査を実施したところ、血流豊富な右甲状腺腫瘤が認められ、周囲静脈内への浸潤が確認されました。細胞診を実施したところ甲状腺癌が疑われ、周囲リンパ節への転移は認められませんでした。

  • 治療 超音波画像
    血流豊富な左側甲状腺腫瘤が認められる。
  • 治療 超音波画像
    左側甲状腺腫瘤が周囲静脈内へ浸潤している(矢頭)

転移が認められなかったため、積極的治療として外科切除を検討しました。外科切除が可能かC T検査を実施し、その後右甲状腺腫瘤切除を実施致しました。

  • 治療 CT画像
    血流豊富な甲状腺腫瘤 (矢頭)が認められる。
  • 治療
  • 治療
  • 治療
  • 治療 術中写真
    電気メスや鉗子を用いて、腫瘤を周囲組織から剥離し、太い血管に対して血管クリップや結紮により血管離断を行い摘出しました。

甲状腺腫瘤は、甲状腺濾胞腺癌でした。腫瘍は大きく、血管内浸潤が認められているため、補助化学療法を提示致しましたが、オーナー様はご希望されなかったため、定期検診のみで経過観察と致しました。術後2年経過しておりますが、転移を疑う所見は認められず、良好な経過を過ごしております。

「喉に腫瘤(しこり)が認められる」
「甲状腺癌、甲状腺腫瘍と診断された」
などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。

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