鼻汁、くしゃみをする(口腔鼻腔瘻)

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case2.鼻汁、くしゃみをする(口腔鼻腔瘻)

口腔鼻腔瘻とは

上顎歯の歯周炎によって上顎歯槽骨が吸収して鼻腔に達すると、口腔と鼻腔が交通して口腔鼻腔瘻となります。多くは、上顎犬歯と上顎前臼歯の歯根周囲で発症します。
症状は、歯根の炎症が鼻腔内に広がるため、くしゃみや鼻汁(膿性)が認められ、時には鼻出血や眼脂がみられることもあります。

  • イメージ 口腔鼻腔瘻がみられた同側に、鼻孔からの鼻汁(▲)と眼脂(△)が認められる(ステップアップ 犬と猫の臨床歯科-口腔疾患の治療 インターズーより)

口腔鼻腔瘻に対する診断や治療

くしゃみ、鼻汁といった症状だけでは、原因が鼻炎なのか、口腔鼻腔瘻なのか、鼻腔内腫瘍なのか分かりません。通常、まず鼻炎の治療を実施し、治療反応を確認します。改善が認められない、再発を生じる、鼻出血など悪化した場合、これらの鑑別診断を行う必要があります。
当院では、C T検査により鼻炎、口腔鼻腔瘻、鼻腔内腫瘍といった疾患を画像上鑑別診断し、鼻炎が疑われる場合は、細菌・真菌培養検査や組織検査を実施し、腫瘍が疑われる場合は、組織検査を実施し、口腔鼻腔瘻が疑われる場合は、その原因となる歯の抜歯を実施します。

口腔鼻腔瘻は、歯根の炎症が鼻腔内に広がり、くしゃみや鼻汁といった症状が生じるため、根本治療は、原因の歯を抜く事になります。上記の様に、当院は、C T検査を活用し、1回の麻酔で診断や治療を実施します。
また、同時にスケーリング(歯石除去)やポリッシング(研磨処置)も実施します。

実際に治療した症例

症例1:ミニチュアダックスフンド、11歳、雄

半年前から右側の膿性鼻汁やくしゃみが認められていた。他院にて数回抗生剤投薬で改善が認められず、前日より鼻出血が認められたとのことで来院されました。
当院においても内科治療で改善が認められなかったため、C T検査を実施致しました。

  • イメージ 右上顎犬歯の歯槽骨が骨溶解(矢頭)し、歯根と鼻腔が連続しており、鼻腔内に造影効果の乏しい占拠物が認められる(※)
  • イメージ 右上顎第4前臼歯の歯槽骨が骨溶解(矢頭)し、歯根と鼻腔が連続している。

CT検査により、右上顎犬歯および右第4前臼歯における口腔鼻腔瘻と診断し、麻酔を維持しながらこれらの抜歯を実施致しました。また同時にケーリング(歯石除去)やポリッシング(研磨処置)も実施致しました。
抜歯および口腔粘膜によるフラップ縫合を実施後、症状は消失し完治致しました。その後、再発もなく経過は良好です。

  • イメージ 右上顎犬歯抜歯前後の写真。口腔粘膜によるフラップ縫合を実施した(矢頭)。自然に溶ける吸収糸のため、抜糸する必要はありません。
  • イメージ 右上顎第4前臼抜歯前後の写真。口腔粘膜によるフラップ縫合を実施した(矢頭)。自然に溶ける吸収糸のため、抜糸する必要はありません。

「鼻汁やくしゃみをしている」「鼻出血が認められる」「口腔鼻腔瘻が疑われる」などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。

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047-409-3906
(祝日、日曜日午後休診)