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顔が腫れている(根尖周囲膿瘍)

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case1.顔が腫れている(根尖周囲膿瘍)

根尖周囲病巣とは

根尖周囲病巣とは、歯髄(歯の中)に生じた炎症が、歯髄全体に広がり歯髄壊死へと進行し、根尖部(歯根の先端)の周囲組織に影響を及ぼし病変を形成した状態をいいます。根尖周囲病巣を生じた歯の部位により、眼の下(眼窩)や下顎の皮膚が腫脹し、穴が開き、血膿が出たりします。犬猫の歯髄疾患は犬歯や上顎第4前臼歯の発生が多く認められます。

  • イメージ 歯髄疾患から発症した根尖周囲病巣の図(ステップアップ 犬と猫の臨床歯科-口腔疾患の治療 インターズーより)

根尖周囲病巣に対する治療

根本治療は、原因の歯を抜く事になります。または、一時的で再発する可能性がありますが、感染や腫脹を改善させるため、内科治療を実施する事もあります。

内科治療

抗生剤や消炎剤を使用します。根本治療ではないので、一時的で再発や改善が認められない場合もあります。

抜歯治療

感染した歯と根尖周囲組織の除去によってのみ治癒が可能となります。当院では、通常のレントゲン検査では、原因の歯を特定する事は困難なため、全身麻酔下でC T検査を実施します。根尖周囲病巣と診断し、原因の歯を特定した後、そのまま1回の麻酔下で原因となっている歯の抜歯を実施します。また、同時にスケーリング(歯石除去)やポリッシングも実施します。

実際に治療した症例

症例1:マルチーズ、8歳、避妊雌

1ヶ月前から左側眼窩の皮膚が腫脹し、ホームドクターにて抗生剤や消炎剤で治療頂いたが、改善が無かったため、当院へ受診されました。数種類抗生剤を使用頂いておりましたが、改善が無かったため、当院にてCT検査を実施しました。

  • イメージ C T横断像:第4前臼歯おいて、歯槽骨、一部上顎骨の骨溶解と近心口蓋根に根尖周囲病巣が認められ、眼窩の皮下組織につながっている(矢頭)。

C T検査にて根尖周囲病巣と診断し、全身麻酔を維持したまま、その後すぐに第4前臼歯抜歯を実施致しました。第4前臼歯は歯根が3つあるため、歯を分割し単根にしてから抜歯します。抜歯後は、抜いた歯の穴が大きいため、口腔粘膜によるフラップ縫合により閉創します。同時に歯石除去(スケーリング)、研磨処置(ポリッシング)も実施しました。処置後、抗生剤投与し、左側眼窩の腫脹は消失し完治しました。

  • イメージ 第4前臼歯をタテに近心根と遠心根に分割している。
  • イメージ 近心根を水平に切断している。
  • イメージ 近心頬側根と近心口蓋根に分割し、第4前臼歯を3つの歯根に分割した写真。その後1本ずつ抜歯を実施した。
  • イメージ 抜歯した第4前臼歯の写真。3つの歯根に分割され、しっかり抜歯されている。
  • イメージ 抜歯後の口腔内写真。抜歯された部位は、穴が大きく空いていている(矢印)。
  • イメージ 口腔粘膜によるフラップ縫合後の写真。大きく空いた穴は、縫合され閉じている(矢印)。自然に溶ける吸収糸のため、抜糸する必要はありません。
症例2:ポメラニアン、3歳、雄

2週間前より、右鼻梁部腫脹が認められ、他院にて抗生剤投与により、一時的に若干改善したが再度腫脹してきたとの事で、セカンドオピニオンとして来院されました。細胞診を実施したところ、化膿性炎症でした。

  • イメージ 右鼻梁部の腫脹(矢頭)が認められる
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  • イメージ

レントゲン撮影を実施しましたが、明らかな上顎骨の骨溶解は認められず、腫脹部の原因は分りませんでした。C T検査を実施したところ、右上顎犬歯領域の歯槽骨と一部上顎骨の骨溶解(矢頭)が認められました。また、吸収像が腫脹部につながっているため、根尖周囲病巣と診断しました。2次元のレントゲン検査では、原因がはっきりしませんでしたが、C T検査による断層画像により、診断が可能となりました。麻酔を維持したまま右上顎犬歯の抜歯および口腔粘膜によるフラップ縫合を実施致しました。同時に歯石除去(スケーリング)、研磨処置(ポリッシング)も実施致しました。処置後は、右鼻梁部の腫脹も改善し完治しました。

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  • イメージ 犬歯領域の歯肉を切開し、犬歯抜歯を行いその後口腔粘膜によるフラップ縫合を実施している

「顔が腫れている、眼の下が腫れている、眼窩や鼻梁部が腫脹している」「根尖周囲病巣、根尖周囲膿瘍と診断されているが、再発している、または症状の改善が認められない」などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。

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