頭部

CT検査-症例:頭部

case1

主 訴 重責発作(夜間に1時間以上発作が続いている)
プロフィール シーズー、13歳、避妊雌
診 断 脳腫瘍疑い
検査所見 右側脳室の一部を満たす占拠性病変が認められ(◇)、左側に占拠性病変が一部迫り出している(矢印)。
発作が起こらない様に点滴注射で寝かせて、徐々に量を減らし、抗てんかん薬、脳圧降下剤、ステロイドなどを使用しながらお家で過ごす事が出来る様になりました。
  • イメージCT画像(体軸断面)
  • イメージCT画像(冠状断面)

脳の描出において、CT検査よりもMRI検査の方が良いため、頭蓋内の神経疾患が疑われる場合、通常MRIを撮影します。しかし、MRI撮影ができる場所は限られてしまい、本ケースの様に発作が止まらなく緊急な場合、CT検査を寝ている間に撮影する事は有用と考えています。

case2

主 訴 眼球突出
プロフィール 日本猫、5歳、雄
診 断 眼窩腫瘍(鼻腔内腫瘍による眼窩内浸潤)、リンパ腫
検査所見 左側鼻腔全域、右側鼻腔深部、咽頭鼻部および左側眼窩領域に骨浸潤を伴う軟部組織腫瘤(矢印)が認められる。組織生検及び組織スタンプの細胞診よりリンパ腫と診断致しました。
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case3

主 訴 1ヶ月前からのくしゃみ、鼻汁(膿性、両側性)。
抗生剤を休薬すると再発する。
プロフィール ミニチュアダックス、10歳、雄
診 断 特発性鼻炎疑い
検査所見
  • レントゲン検査にて、右側に比べ左側の鼻腔領域が不透過性亢進(白さが濃い)を認めるが(矢印)、その他明らかな異常所見は認められない。
  • CT検査にて、左右鼻腔および左右前頭洞内に占拠性病変が散在している(◇)。同病変は単純CTにおいて均一な等濃度であるが、造影CTにおいて一部強い造影増強効果を示す(◇)。CT所見上、鼻腔腫瘍や歯周疾患を疑う所見は認められない。組織検査を実施した所、慢性炎症病変であった。抗生剤、ステロイド剤により症状が緩和され、現在無投薬で良好な経過を辿っている。
  • イメージレントゲン写真
  • イメージレントゲン写真
  • イメージCT画像(造影前)
  • イメージCT画像(造影後)

case4

主 訴 慢性鼻汁、鼻出血。
プロフィール 日本猫、13歳、去勢雄
診 断 慢性鼻炎
検査所見
  • 右前頭洞および右鼻腔全域にかけて、造影増強効果に乏しい、低濃度の占拠性病変が認められ(◇)、鼻甲介構造は中等度に破壊されている。
  • 本症例は、全ての歯や歯槽骨に異常は認められず(矢印)、鼻汁と思われる占拠性病変のみで、明らかな腫瘤病変は認められませんでした。また、細胞診において好中球を中心とする炎症細胞が認められ、真菌・細菌培養検査において2菌種細菌が検出されたことから、細菌感染を伴う慢性鼻炎・副鼻腔炎と診断致しました。
    その後は、内科療法で経過をみています。
  • イメージレントゲン写真
  • イメージCT画像(冠状断面)
  • イメージCT画像(体軸断面)

くしゃみ、鼻汁、鼻出血など鼻の中の病気に対して、CT検査は非常に有用です。レントゲン画像とCT画像を見比べると、その違いがよく分かります。CT検査により、レントゲン検査では分からなかった、原因が鼻腔内腫瘍なのか、鼻炎なのか、歯なのかが分かります。画像診断に基づき、そのまま麻酔下で鼻の粘膜を生検したり、細菌や真菌の培養検査をしたり、原因となる歯を抜いたりします。

case5

主 訴 口腔内腫瘤(上顎正中吻側部)
プロフィール マルチーズ、11歳、避妊雌
診 断 棘細胞性エナメル上皮腫
検査所見 切歯骨において、顕著な骨破壊を伴わない(黄矢印)腫瘤病変が認められる(白矢印)。組織生検より、棘細胞性エナメル上皮腫と診断致しました。
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case6

主 訴 口腔内腫瘤(上顎正中吻側部)
プロフィール ポメラニアン、12歳、雄
診 断 無顆粒性メラノーマ
検査所見
  • 左右上顎第一切歯の中央部に、隣接する切歯を外側に圧排する比較的境界明瞭な 孤立性腫瘤が認められる(矢印)。下顎リンパ節、内側咽頭後リンパ節の腫脹および肺転移は認められない。
  • 本症例は、同時にリンパ節細胞診を実施し、明らかな転移所見が認められなかったため、外科治療および化学療法または、放射線治療および化学療法といった積極的治療を提案いたしました。
    現在、大学病院にて放射線治療に通って頂いております。
  • イメージ外観写真
  • イメージCT画像(冠状断面)
  • イメージCT画像(体軸断面)

case7

主 訴 口腔内腫瘤(他院よりCT検査依頼)
プロフィール ペルシャ猫、11歳、避妊雌
診 断 扁平上皮癌
検査所見
  • 左下顎にて第1後臼歯後方から切歯骨正中にかけて骨破壊と骨増生を伴った腫瘤病変が認められる(矢印)。下顎リンパ節、内側咽頭後リンパ節の腫脹および肺転移は認められない。
  • 本症例は、転移を疑う所見が無かったため、ホームドクターで積極的な治療を行っております。
  • イメージ外観写真
  • イメージCT画像(冠状断面)
  • イメージCT画像(体軸断面)

口腔内腫瘤は、診断するために、病理検査のための組織生検が必要となります。その際、口の中のため、多くは全身麻酔が必要となります。同時にCT検査をすることで、腫瘤の広がりや転移の有無といった情報が得られ、1回の麻酔で診断および進行度まで把握する事が可能となります。

case8

主 訴 右側頭筋の萎縮、ドライアイ
頭頚部腹側にて硬結性腫瘤認める(他院よりCT検査依頼)。
プロフィール 柴犬、12歳、雄
診 断 骨の多分葉状腫瘍
検査所見
  • 蝶頸骨、翼状骨、鼓室胞の右腹側に境界明瞭な骨性腫瘤が認められる(黄矢印)。
  • 腫瘤は、後翼孔(上顎神経)、卵円孔(下顎神経)、顔面神経管(顔面神経)、内耳孔(内耳神経)、三叉神経管(三叉神経)を完全ないし不完全に閉塞し、それらの一部から頭蓋内へ浸潤している(赤矢印)。
  • 本症例は、腫瘤により上記の脳神経が圧迫され、右側頭筋の萎縮やドライアイを併発していると推察しました。ジャムシディ生検により骨の多分葉状腫瘍と診断致しました。
  • イメージCT画像(体軸断面)
  • イメージCT画像(矢状断面)
  • イメージ細胞診写真
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