従来、開腹手術は視野や操作性を良くするため、大きくお腹を開けて行われます。腹腔鏡手術は、2-10mmの傷口の数カ所で行える手術です。
切開部にトロッカーという筒状の器具を設置し、CO2ガスをお腹に送気しお腹の中に空間を作ります。細いカメラや器具をトロッカーを通してお腹の中に入れて、モニターを見ながらお腹の中で手術を行います。その後、切除した物を小さな傷口から体外へ出します。
肝生検では、小さな術創2カ所で実施する事ができます。
アンモニア、総胆汁酸(TBA)の値が高い場合、①肝臓へ流れる血管の疾患(門脈体循環シャント)②肝臓自体の疾患が考えられます。当院では、はじめにC T検査を実施し門脈体循環シャントかどうかを確認します。単一性門脈体循環シャントであれば、その後開腹手術を実施します。単一性門脈体循環シャントではなく、肝臓自体の疾患もしくは、多発性門脈体循環シャントであれば、腹腔鏡下における肝生検を実施します。上記の様に、②肝臓自体の疾患であれば低侵襲に検査診断を実施する事ができます。
避妊手術の術前レントゲン検査において、小肝症が認められた。追加で、食前および食後の総胆汁酸(TBA)測定を実施したところ、食後で軽度高値が認められた。持続性に総胆汁酸(TBA)の高値が認められたため、CT検査を実施し門脈体循環シャント血管が認められず、その後腹腔鏡下肝生検および避妊手術を実施した。
若齢で避妊手術と同時に肝生検を行う場合、避妊手術で使用する小さな術創3カ所で実施する事ができます。
肝生検における病理検査は、「軽度の門脈低形成」で、症状も無くTBA上昇も軽度であったため、食事療法と定期検診で経過を見る事となりました。
CT検査にて、門脈体循環シャント血管は認められない。
腹腔鏡下肝生検および避妊手術 術後術創写真
・若齢で避妊手術と同時に肝生検を行う場合、避妊手術で使用する小さな術創3カ所で実施する事ができます。元気に翌日退院となりました。
開腹下肝生検および避妊手術の術創想定ライン
・肝臓は上腹部の臓器、卵巣子宮は下腹部の臓器のため、かなり傷口は大きくなります。
腹腔鏡下における手術と開腹下における手術では、かなり傷口の大きさが異なります。
CT検査腹腔鏡手術は、痛みの軽減や低侵襲性において、とてもメリットが大きいと考えられます。
血液検査でいつも肝酵素(AST、ALT、ALP、GGT)が高い、肝機能検査(アンモニア、TBA)で異常値が認められる、肝生検が必要と言われたなどでお困りでしたら、是非当院へご相談下さい。