脾臓腫瘤とは、脾臓にできもの(腫瘤)が形成された事をいいます。腫瘤は腫瘍性疾患(良性腫瘍または悪性腫瘍)と非腫瘍性疾患に分かれます。国内の病理検査センターにおけるデータでは、良性腫瘍または非腫瘍性病変が、約半数を占めており、残り約半数が悪性腫瘍、その50%が血管肉腫であったと報告されています。
脾臓腫瘤に対して、①手術による摘出、もしくは②超音波検査による定期的な腫瘤サイズのチェックや細胞診の実施を検討します。腫瘤の大きさや腹腔内出血を生じた事があるかにより、どちらを実施するか判断します。
健康診断などで、偶発的に発見された3cm未満の小さい脾臓腫瘤に対しては、②超音波検査による定期的な腫瘤サイズのチェックや細胞診の実施をする事が多く、逆に腫瘤の大きさが3cmを超えている、もしくは腹腔内出血を生じている、定期チェックで徐々に腫瘤が増大している場合は、①手術による切除を検討します。
また、脾臓腫瘤における悪性腫瘍のうち、血管肉腫の発生が多く、転移率も高いため、外科切除を検討する前に画像検査で転移所見が無いか評価したのち、切除を実施します。
脾臓は血液豊富で脆弱な臓器であり、腫瘤が形成した場合には、脾臓摘出術が選択されます。当院では、ソノサージまたはサンダービートといった超音波メスを使用する事により結紮糸を使用せず、短時間に脾臓摘出を実施しております。
実際に治療した症例
昨日から急性の元気消失、起立不能を主訴に来院しました。身体検査にて、腹腔内腫瘤の触知、意識混濁、低体温が認められました。また、超音波検査により腹水および脾臓腫瘤が認められました。腹水は、血様であったため、脾臓腫瘤破裂による腹腔内出血が疑われました。輸液や酸素化、輸血を実施し、全身状態が安定したところで、CT検査および脾臓摘出術を実施しました。
術後、心室性期外収縮および心室頻拍が認められましたが、状態は徐々に安定し、自力採食が可能となり、術後8日で退院としました。脾臓腫瘤の病理検査結果は、血腫という非腫瘍性病変であり、その後の一般状態は良好です。
5ヶ月前より、食欲にムラがあり体重減少が認められるため、受診されました。レントゲン検査及び超音波検査にて、脾臓腫瘤が認められました。その後、CT検査および脾臓腫瘤摘出術を実施致しました。腫瘤は大網や腸、腸間膜と重度に癒着しており、超音波手術器(ソノキュア)で癒着を剥離して摘出しました。
術後、すぐに食欲は戻り体重も元に戻りました。脾臓腫瘤の病理検査結果は、肉腫という悪性腫瘍性病変でした。術後補助化学療法を実施し、経過観察と致しました。
「元気、食欲がない。」
「お腹が膨らんでいる、腹部膨満が認められる。」
「腹腔内に大きな腫瘤(できもの)がある、脾臓に腫瘤があると診断された。」
などでお困りの際は、当院に気兼ねなくご相談下さい。